
ない。公的なものであるからといって安心はできない。リストラはなにも民間だけのものではない。
施設が生き物であることを自覚するもうひとつの事例を紹介する。
お客が一杯になる店とそうでない店がある。その違いはどこにあるか、をトコトン追求した企業がある。それは、今や流通の世界では売上高が1位になったセブンイレブン・ジャパンである。
この企業は利用者を増やすためにさまざまな工夫をする。なかでも「ユーザーの心をつかめ」が企業哲学の基礎にある。そしてこの哲学を具体化したのが、コンピュータである。POS(point of sales)システムをつくり、バーコードをいち早く導入し、ユーザーが何を欲しているかキャッチしたのである。
その結果ユーザーは次の二つを欲していることを発見する。
「新鮮さ」(ニュー)と「清潔さ」(クリーン)である。
だから、各店を廻るスーパーバイザーが指導するのは、「新鮮さ」と「清潔さ」のバロメーターである「牛乳」と玄関に敷いてある「マット」にこだわる。日付けが3日過ぎた牛乳は捨てるように、そして玄関のマットはいつもきれいに掃除するように指導する。そうしてロイヤリティーは他社よりたかいが、セブンイレブン社に加入する店は増え、今では6,000店舗を超えるといわれている。
施設の職員の平均年齢は何歳だろうか。主催事業の目玉は何個あるか。利用者の二一ズを的確に捉えているだろうか。利用者に「使わせてあげる」という発想を持ってはいないだろうか。公的施設のサバイバルは難しくなっている。今一度「施設は生き物で、寿命がある」という自覚が求められている。
■青少年の自主性を育てる条件
1)おもしろくて楽しい活動から自主性が生まれる
これまでの教育観を大転換した具体的にしたものとしてボランティア活動の視点がある。「勉強」は自分のためでなく社会に役立つためにする。そして、「勉強」は「6歳から22歳まで」でなく、おもしろく自由に生涯にわたって行われるものである。
私はこうした考え方の具体例としてボランティア活動を考える。よく言われるようにボランティアは次のような特徴がある。
?@活動が人の役に立つ(公共性)
?A自分からすすんでする(自発性)
?B利益を予測しない(無償性)
?C繰り返して行う(継続性)
この四つのうち日本の場合「人の役に立つ」が強調される。そして、この「人に役に立つ」活動は「人のため」となり、ややもすると義務感がともない強制的になりがちである。その結果、人のためになる活動をする人は「善い人」で、人のためになる活動をしない人は「悪い人」というレッテルを貼るようになる。
それでは困る。ボランティアは「人の役に立つ活動」であるが、人に勧められてするものではない。自分からすすんでするものである(自発性)。
人が自分からすすんで活動するのは、その活動がおもしろくて楽しいからである。決して報酬を前提にしない(無償性)。そして、その活動が結果として人の役に立っていると充足感が増す。また、楽しくておもしろいから活動は一
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